読書ガイド
泣ける小説おすすめ7選
思いきり泣きたい夜もあれば、静かに涙がにじむくらいがいい夜もある。泣き方のタイプで選ぶ7冊。
このサイトの小説 · 第1作 日本語版
リミナル・フィクション ― 世界のはざまの列車
日本語版
泣ける物語のなかでも、記憶と再会をめぐる切ない幻想ものが好きな人には、このサイトの小説の日本語版『リミナル・フィクション ― 世界のはざまの列車』を。目が覚めると見知らぬ列車の中、切符には「行き先:不明」とだけある。自分が誰なのかも思い出せない青年エリオが、ひとりだけ彼を知っているような少女ルミと出会い、謎を追ううちにミステリーが静かなラブストーリーへと変わっていきます。上の7冊のような号泣型ではなく、余韻の残るラストをじっくり味わう幻想ミステリーです。日本語版はAmazon.co.jpのKindleで読めます(Kindle Unlimited対象)。
結論
泣ける小説のおすすめを一冊だけ選ぶなら、住野よる『君の膵臓をたべたい』です。重い病気を隠して明るく生きる同級生と、他人に興味のない「僕」の短い日々。タイトルの意味が分かったとき、多くの読者が泣いています。号泣したいならこれと片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』、静かに泣きたいなら梨木香歩『西の魔女が死んだ』、泣いたあと温かくなりたいなら瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』を。
泣ける小説は「泣き方」で選ぶ
「泣ける」と一口に言っても、涙の種類はさまざまです。どれを読むか迷ったら、いま自分がどんなふうに泣きたいのかを考えてみてください。
- 号泣したい:大切な人との別れが避けられない恋愛もの。
- もう一度会いたい:亡くなった人と再会する、不思議な設定の物語。
- 静かに泣きたい:家族の言葉や記憶が、あとからじわじわ効いてくる物語。
- 泣いたあと温かくなりたい:悲しいだけで終わらない家族の物語。
下の7冊は、すべて日本語で書かれた小説で、刊行元と刊行年を確かめています。ネタバレはありません。
泣ける小説 7選
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君の膵臓をたべたい
病院の待合室で「僕」が拾った一冊の文庫本。それはクラスの人気者・山内桜良が、膵臓の病気で余命がわずかだと書きつけた日記だった。秘密を知った唯一のクラスメイトになった「僕」は、彼女に振り回されるように、焼肉や旅行や、何でもない放課後を一緒に過ごしていく。病気の話なのに会話は軽く、冗談ばかりで、だからこそ後半の展開がまっすぐ胸に来ます。余命ものはもう読み飽きた、という人にも一度は読んでほしい、ここ十年でいちばん多くの人を泣かせた青春小説の一つです。
- 向かない人:
主人公どうしの軽口の多い会話が苦手な人。ライトな文体で書かれています。
確認した情報源: 国立国会図書館サーチ:君の膵臓をたべたい(双葉社、2015年), 国立国会図書館サーチ:双葉文庫版(2017年)
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世界の中心で、愛をさけぶ
地方の町で育った朔太郎と、同級生のアキ。中学から高校へ、ゆっくり近づいていった二人の恋は、アキの病気によって終わりを意識せざるをえなくなる。物語は、大人になった朔太郎が過去を振り返るかたちで語られ、失われた時間の美しさと取り返せなさが、最初から最後まで静かに響いています。「セカチュー」と呼ばれて映画やドラマでも大ブームになった作品ですが、原作の小説は意外なほど短く、抑えた文章で書かれています。王道の純愛で泣きたい人に、まず手に取ってほしい一冊です。
- 向かない人:
病気の恋人との別れ、という王道の展開がもう苦手な人。物語の型は予想どおりに進みます。
確認した情報源: 国立国会図書館サーチ:世界の中心で、愛をさけぶ(小学館、2001年), 国立国会図書館サーチ:小学館文庫版(2006年)
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余命10年
二十歳で、治らない病気と診断され、残された時間は十年と告げられた茉莉。恋はしない、と決めて生きはじめた彼女が、それでも出会ってしまう人がいる。十年という、短いけれど何もできないほどは短くない時間を、仕事や趣味や家族との日々とともに描いていきます。病気の苦しさだけでなく、「普通に生きたい」という気持ちの強さが書かれているので、悲しいのに読後は不思議と前を向けます。著者自身も同じ病を抱えていたことで知られる作品で、2022年には映画にもなりました。
- 向かない人:
いま自分や家族が重い病気と向き合っていて、余命の物語を読むのがつらい人。
確認した情報源: 国立国会図書館サーチ:余命10年(文芸社、2007年), 国立国会図書館サーチ:文芸社文庫NEO版(2017年)
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いま、会いにゆきます
妻の澪を亡くして一年。夫の巧と幼い息子の佑司は、「雨の季節になったら戻ってくる」という彼女の言葉を胸に、二人で暮らしている。そして梅雨のある日、二人の前に澪が現れる。ただし、自分が誰なのかも、二人のことも覚えていないまま。もう一度、家族三人の時間が始まりますが、雨の季節はいつか終わる。不思議な設定の物語ですが、描かれているのは、ぎこちない夫婦がもう一度恋をしていく、とても誠実な愛の話です。終盤で明かされることが分かると、最初のページから読み返したくなります。
- 向かない人:
現実的な設定の物語しか受けつけない人。ファンタジーの約束ごとを受け入れて読む作品です。
確認した情報源: 国立国会図書館サーチ:いま、会いにゆきます(小学館、2003年), 国立国会図書館サーチ:小学館文庫版(2007年)
予告編(30秒)
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コーヒーが冷めないうちに
ある喫茶店の、ある席に座ると、過去に戻ることができる。ただし、過去に戻っても現実は変わらないし、コーヒーが冷めるまでに戻ってこなければならない。そんな面倒なルールがあるのに、店には「もう一度だけ会いたい」人たちがやって来る。別れた恋人、記憶をなくしていく夫、亡くなった家族。四つの短い物語はどれもやさしく、結末は分かっていても涙が出ます。泣けるけれど重すぎない一冊を探している人や、読書が久しぶりの人に向いています。
- 向かない人:
文学的な深みを求める人。もとは舞台作品で、会話中心のシンプルな語りです。
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西の魔女が死んだ
中学に入ってまもなく、学校に行けなくなったまいは、田舎でひとり暮らす祖母のもとでしばらく過ごすことになる。英国人の祖母は、まいに「魔女修行」をすすめる。それは、早寝早起きをし、食事をきちんと作り、何でも自分で決めること。ジャムを煮たり、庭の草を摘んだりする静かな日々の描写がとても美しく、その時間がどれほど大切だったかは、タイトルどおりの知らせが届いたときに分かります。号泣というより、気づいたら涙が流れている種類の本で、大人になってから読み返して泣く人も多い作品です。
- 向かない人:
起伏の大きいドラマを求める人。物語の大半は、祖母と孫の穏やかな日常です。
確認した情報源: 国立国会図書館サーチ:西の魔女が死んだ(楡出版、1994年), 国立国会図書館サーチ:新潮文庫版(2001年)
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そして、バトンは渡された
高校生の優子は、事情があって親が何度も替わり、いまは血のつながらない若い父親と二人で暮らしている。そう聞くと不幸な話を想像しますが、優子は困っていないし、どの親にもきちんと愛されてきた。毎日の食卓、進路の相談、ピアノ、そして結婚。家族のかたちが変わるたびに、誰かから誰かへ何かが手渡されてきたことが、少しずつ見えてきます。悲しい涙ではなく、ありがたさで泣ける小説で、泣いたあとに気持ちが明るくなる一冊を探している人に。2019年の本屋大賞受賞作です。
- 向かない人:
思いきり悲しい物語で泣きたい人。全体に明るく、やさしい話です。
確認した情報源: 国立国会図書館サーチ:そして、バトンは渡された(文藝春秋、2018年), 国立国会図書館サーチ:文春文庫版(2020年)
どれから読む? 泣き方別早見表
| 泣き方 | おすすめ |
|---|---|
| 号泣したい(恋愛) | 『君の膵臓をたべたい』『世界の中心で、愛をさけぶ』 |
| 余命を生きる強さに泣く | 『余命10年』 |
| 亡くなった人に、もう一度会う | 『いま、会いにゆきます』『コーヒーが冷めないうちに』 |
| 静かに、じわじわ泣く | 『西の魔女が死んだ』 |
| 泣いたあと温かくなる | 『そして、バトンは渡された』 |
泣ける小説をもっと探すなら
小説で泣くと、すっきりするだけでなく、自分が何を大切に思っているのかに気づかされることがあります。同じ本でも、十代で読むのと、家族を見送ったあとで読むのとでは、泣く場面が変わる。気になった一冊は、何年かたってから読み返してみてください。
鉄道を舞台にした泣ける短編、浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』は電車・鉄道が舞台の小説で紹介しています。大切な人を失ったあとの時間を描いた小説は喪失を描いた小説おすすめに、『コーヒーが冷めないうちに』が好きだった人には似た本のガイドもあります。記憶をなくす切ない恋愛なら記憶喪失の小説おすすめもどうぞ。
よくある質問
読者からよく聞かれること
泣ける小説で、いちばん有名なのは?
近年なら住野よる『君の膵臓をたべたい』、少し前なら片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』がよく挙げられます。どちらも映画化された青春恋愛小説です。
号泣できる小説は?
大切な人との別れが描かれる『君の膵臓をたべたい』『余命10年』『いま、会いにゆきます』です。人前で読むのは避けたほうがいいかもしれません。
泣けるけれど、読後感が明るい小説は?
瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』です。親が何度も替わった少女の物語ですが、温かい涙で終わります。
短くて泣ける小説は?
梨木香歩『西の魔女が死んだ』は文庫一冊で短く、中高生にも読みやすい作品です。短編なら浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』もおすすめです。
